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【GDO TALK Vol.1】あなたには、信じられる腕利きのパートナーはいますか?―GDOゴルフガレージ クラフトマン関根裕二

「おまかせで」と言える美容師。ものすごく怖い親知らずの抜歯をお願いできる歯医者。まったく抜けない疲労をたちどころに解決してくれる指圧師。この人だったら腕を信じられる――そんな人に生涯で何人出会えるだろう? ゴルフクラブにもそんな信頼できるパートナーがいたとしたら、あなたのプレーはひとつ上の世界に上がれるかもしれない。クラブ調整の腕で多くの人のゴルフを激変させている「ゴルフガレージ」クラフトマンの関根に話を聞いた。

ロフト角・ライ角。初心者には遠い世界に思えるが、この角度調整でゴルフが激変することもある

ゴルフクラブの製造・修理をはじめ、プレーヤーの特性を知り最適なクラブに調整するのが、ゴルフクラブクラフトマンの仕事だ。GDOが運営する中古クラブ販売・買取店のゴルフガレージには、このクラフトマンが在籍する工房がある。

関根はゴルフガレージの店舗で販売から店長まで務めた経歴を持つクラフトマンだ。クラフトの仕事は未経験だったが、「もともと店頭POPやチラシなどの販促物をつくるのが好きで、手先の器用さを見込まれてクラフトマンの仕事をしないかと誘われた」のだという。

身長180センチの大男ながら、繊細で細かい作業が得意というギャップが面白い

工房ではお客さまからオーダーを聞き、グリップ交換、シャフト交換、ロフト・ライ角調整などを行う。多くの人はクラブに合わせてスイングしようとしているが、カスタマイズを行うと「クラブが仕事をしてくれるようになります」と関根は言う。人間は一人ひとり身長や体型が異なるため、本来は同じゴルフクラブでも個々人に合わせて調整が必要なのだという。

お客さまのオーダーで最も多いのは「飛ばしたい」という要望。クラフトマンは、よりその人が飛ばせるようにレングス(長さ)、バランス(角度)、ウェイト(重さ)に関する数値を決め、それに合わせる作業を行っていく。「その通りにピタッといったときは、本当にうれしいですね。また、そのクラブがすごく良くなったと言ってラウンド後に『ほかの番手も見てほしい』と再訪してくださるお客さまもいらっしゃいます。その瞬間というのは何ものにも代えがたい喜びを感じますね」

得意な作業は、シャフト交換時のソケット仕上げ作業だそう

そんなふうにクラブを調整して、どんどんゴルフが変わっていく快感を得た人はだんだんと純正品では満足しなくなる。ゴルフガレージ(港北ニュータウン店)では、1階で中古クラブの販売を行い、2階で工房サービスを行っている。カスタムにハマった人は1階で買ったクラブを一度も打つことなく、そのまま2階に上がって工房にやってくるようになる、という流れができるそうだ。

関根に特に印象深いお客さまの話を聞くと、「数年ぶりにゴルフを再開しようというお客さまが来店されたときの話です。私が担当して行ったカスタムクラブがどハマりして、さらに2本、3本と持ってきてくだるようになり、結局14本すべてカスタムを行ったことがありました。そのあとはもう、クラブを買い替えるたびに工房に来てくださって、こんなこともあるんだなぁと感激しました」と話した。

週末になると、ゴルフのことやクラブのことを聞きに、ゴルファーたちが特にオーダーはなくとも工房に集まる。豊富な知識と数多くのカスタムをしてきた経験値を持つクラフトマンと上達志向の強いお客さまの会話は、頭の中で次々に組み上げられる“妄想カスタムクラブ”を接点にしながら弾み、時にゴルフから脱線することさえある。ゴルフガレージ事業の責任者は「カスタム好きゴルファーのためのカフェを併設してもいいかも」と、冗談半分、本気半分で笑った。

ゴルフガレージの工房には試打スペースがない。試打ができないということは、スイング分析を行い、その数値に基づいて調整方法を考えることはできないということだ。必然的にお客さまの話をじっくりと聞き、その内容から課題を浮かび上がらせることになる。一般的なクラブフィッターとの違いは、その「カウンセリング型」というところにある。そのコミュニケーションを二度、三度と繰り返すうちに、お客さまのクラフトマンへの信頼度も積みあがっていく。

これがオーダーシート。お客さまの要望を数値化してクラブを調整する

信頼する美容師には、ヘアスタイルだけではなくその髪型に合うメイクや服装も相談したくなる。安全に親知らずを抜いてくれた歯医者には、虫歯にならない食生活まで聞きたくなる。腰痛を治してくれた指圧師には、健康であるための生活スタイルまで相談したい。顧客はサービスの中身だけではなく、そういった派生したコミュニケーションまでを含めて、その人の「プロフェッショナル度」を見ているのではないだろうか。

良いクラフトマンとは? 関根に聞いてみた。

「たくさんのシャフトや部品を知っていること。お客さまの悩みが想像できること」という答えが返ってきた。豊富な知識はもちろんのこと、相手の課題を自分なりに想像することもできる。それこそがサービスに派生したコミュニケーションの本質であり、相手に「腕を信じさせる」プロフェッショナルの力量なのだろう。

ゴルフガレージには、中古シャフトの種類が豊富。断然カスタムの選択肢も広がる

■取材協力:

ゴルフガレージ港北ニュータウン店

〒224-0007 神奈川県横浜市都筑区荏田南1-1-69 TEL:045-949-3933

クラフトマンの仕事に興味がある方は、こちらから。

文:PLAY YOUR LIFE編集部/星 写真:大濱健太郎

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