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「推し×ゴルフ」を“オシゴト”にする仲間たち

写真・文 今岡涼太


「ユーザー体験をデザインする」という課題に取り組むUXD本部は、部署内からゴルファーの創出・強化・継続アイデアを募集する「これからプロジェクト」を、2019年に発足させた。顧客属性によってABCDの4チームに分けられていて、プロジェクトへの参加は自由。その中で「サブカル好き」をターゲットとしたチームBは、アニメ『TIGER & BUNNY 2』のプレイスメント(※企業ロゴを作品内で露出できる権利)を勝ち取って、『BIRDIE WING -Golf Girls’ Story-』とのコラボレーションも支援するなど、異色の活動を続けている。「オタクはゴルフなんてやらない」という固定観念に挑み続ける“中の人たち”を取材した。


【証言1】全身の血が沸騰して駆け巡りました
~ UXD本部CS部 鎌田さん ~


★(鎌田さん)あれは忘れもしない2020 年 10 月 1日(木)、『TIGER & BUNNY 2』のプレイスメント公募というニュースが目に入り、うわぁ!!という絶叫とともに、全身の血が沸騰して駆け巡りました。かつてリアルタイムで楽しんでいた作品とタイアップできるかもしれない。でも、公募期間は1 週間しかなく、翌日に急いでチームBに持ち掛けたら、アドバイザー役の上司に「これをやったら、どれくらいゴルファーが増えるの?」って聞かれたんです…。

私は入社以来、お客様対応を担うCS業務一筋なので、そんな質問にさらりと答えられるはずもありません。それでも、周りに協力してもらって資料を作り、上司に直談判したら熱意だけは伝わったのか、応募は許可してくれたんです。数週間後、バンダイナムコピクチャーズさんから「ミーティングしましょう!」という返事が来て、「やったー!!」と飛び跳ねました。

とはいえ、そこからが大変でした。たとえば、ファンに「GDO」や「ゴルフ」を印象付けるため、お披露目会(※プレイスメント企業を発表するイベント)で、ヒーローがゴルフをしている実写映像を流したいと考えたのですが、その費用対効果を会社に納得してもらうのは容易ではありません。時間だけが過ぎる中、同じプレイスメント企業であるデサントさんから「社内理解を得るために、お互いの名前を出し合いませんか?」という誘いも追い風となって、最後は愛と執念でなんとか会社に予算を確保してもらえたんです。★


【証言2】私たちは“神運営”でなければいけない
~ リテールBU総合戦略グループ 山田さん ~


★(山田さん)2016年から社内でクールジャパン部として活動していて、会社にプレステVRを持ってきて「みんなのGOLF VR」を体験してもらったりしていました。18年の森川智之さん(声優)のイベントでも「こうだったらファンとして嬉しい!」という私の願望を可能な限り叶えていただいて、参加者にも「すごく満足した」と言ってもらえたんです。

このプロジェクトの活動は…「自分たちが楽しみたい」とか「企画を通してやりたいことを実現したい」という思いもないとは言わないんです。もちろん「会社のため」も考えているけれど、それよりもまず「GDOを愛してもらえるか?」は、受け取るファンの方たちにどれだけ「うれしい」とか「楽しい」、「尊い」っていう感情を抱いてもらえるか?に懸かっていると思うので、私たちは“神運営”でなければいけないっていう思いで、ずっとやっています。

今回は、これだけは譲れないっていうファンの思いを妥協せず、いかに会社に理解してもらうかが、この取り組みを意味あるものにする生命線でした。組織の価値観が相手なのですごく苦しい戦いでしたが、その壁を越えられたのは、すごいことだなと思いました。★


【証言3】これは『推し×ゴルフ』の実践なんです
~ UXD本部CRM企画チーム 上原さん ~


★(上原さん)2021年6月に、チームBの活動をアイドルやアニメキャラといった推しを持っている人たちとゴルフを結びつける『推し×ゴルフ』という言葉に集約しました。『TIGER & BUNNY 2』でのプレイスメントは、まさにその実践なんです。

その事実を社内外に公表できる3月12日・・・あんなに待ち焦がれた日はなかったですね。昼と夜の部があるお披露目会には、それぞれに約5000人が来場して、ライブ配信や映画館でのライブビューイングも行われました。プレイスメント企業が読み上げられるとき、正直GDOにあまり反応はなかったんです。でも、ワイルドタイガーとバーナビー・ブルックスJr.がゴルフをしているCM動画がスクリーンに流れると、ファンたちに笑いやざわつきが起きました。その反応を観たときが、一番報われた気がしましたね。あの日流れたCMで観客に一番笑いとインパクトを与えたのは、間違いなくGDOだったと思います。★


【証言4】このメンバーのやりたいことを叶える仕事をやりたい
~ UXD本部CRM企画チーム 鈴木さん ~


★(鈴木さん)自分はひょんなことから、このチームにアサインされました。チームの中では一番オタクじゃなかったし、最初は社内の大半の人と同じように「オタクはゴルフなんてやらねえよ」って思っていたけど、少しずつ「好きなものと一緒ならゴルフもやるんじゃないかな?」って変わっていったんです。

このメンバー、好きなことに関する情報はあふれるほど提供してくれるけど、とにかく話が長いんです!! 30分のミーティングなのに、平気で30分~1時間ほどオーバーして話してくるのは・・・長過ぎません?(笑)それだけ熱く仕事しているメンバーが大好きだけど、他の事業部も巻き込んで仕事をするのに、これじゃあぜんぜん進まないと思って、勝手ながらディレクターを買って出ました。本業の隙間時間でメンバーと対談して、やりたいことを要件定義したり、「オタクが生み出すROI(費用対効果)はどれぐらいか?」という効果予測の資料を作って、予算確保に向けて鎌田さんと社内を駆け回ったりしていました。

メンバー同士の”作品愛”がぶつかり合ってトラブルが生じ「もうこのチーム、解散するんじゃないか…」って途方に暮れたこともありました。それでもなんとか、みんなの気持ちを一つにまとめ上げて、お披露目会でGDOの存在がファンに伝わったのを観たら「あーすごいな」って感動して大号泣しちゃったんです。引き続きこれからも、こんなひと癖ある素敵なメンバーたちのやりたいことを叶える仕事をやりたいですね。★


「チームB」改め「Sマーケ」に
今後の活動は?


メンバー4人の証言をお聞きいただいたチームBは最近、「ソーシャルマーケティング新規顧客開拓チーム」、通称「Sマーケ」と自称して、業務上で自らの立場を明確にしようと動いている。名前に“ソーシャル”をつけたのは、SNSでバズらせる仕掛け作りが強みだと考えるから。実際、Twitterで『TIGER & BUNNY 2』とのコラボ動画を投稿した@GDO_PYLのインプレッション数は、松山英樹のマスターズ制覇を伝えた@GDO_newsのツイートと同程度の約27.7万回で、エンゲージメント率は驚異の5,440%を記録。YouTubeでのコラボ動画再生回数は4.6万回、高評価は1865件(2022年6月現在)に達している。

「推しを推すことを“オシゴト”って言うんです。私は“オシゴト”をするために仕事をしていて、その仕事が自分たちの得意分野ならもっと効果的なことできるっていうクールジャパン部からの念願が、ようやく叶ったのかなって思います」と山田さん。「正直、私は GDO 自体が推しなんです」と断言するのは鎌田さんだ。「だから、好きなことができているというよりも、自分の得意なことでGDOに新しい可能性を見せられたのがよかったです」と胸を張る。彼女たちがその能力を発揮できる環境が、いよいよ整いつつあるのだ。

6月3日、新たなニュースが飛び込んできた。『TIGER & BUNNY』が、ハリウッド実写化プロジェクトを再始動させるというものだ。もちろん、真っ先に反応したのは「Sマーケ」の面々である。はたして「推し×ゴルフ」はどう動くのか?この先の展開は…まだ誰も知る由しがない。

<了>

プロジェクトに協力してくれたその他メンバー:冨宅さん、菅原さん、大山さん、成毛さん、加藤さん、金丸さん

あのヒーローたちもゴルフデビュー?
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