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Travel back in time【最終回】―創業21周年を迎えて

サービス開始から拡大までの道のり、そして私たちが目指す社会の姿とは


創業メンバーの知見と強い意志を結集し、ついにサービスを開始することになった。日本中のゴルフ場との提携、システムの構築、そして資金調達。一つひとつのステップを地道に上りながら歩んできた20年間。21年目以降を展望し、歩を進めるにあたっては、自分たちの存在意義、ゴルフのあり方、目指す社会のありようをもう一度見つめ直した。ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)の原点とこれからの未来について、代表の石坂が自らの言葉で語る。



創業から半年足らずという短い期間で、マイナス要因をできるだけ排除した。予約・ECサービス・メディアと複数事業を用意したのもリスクヘッジを考えてのことだったし、起こりえる最悪の事態はあらかじめシミュレーションしていた。

例えば、「万が一、システムがバグだらけのまま起動したらどうなるか?」など、スタッフが縁起でもない、と嫌がるような想定ばかりしてリスクマネジメントを考えた。ベンチャーというのは成功のイメージをもってチャレンジするものと考えるのが一般的かもしれないが、僕はビジネススクールでも10年勤めた商社でも、リスク管理を徹底的に叩き込まれている。商社では危険物の管理をしていたこともあり、ワーストケース・シナリオはこれでもかというほど考えさせられた。当時は嫌気が差したこともあったが、想定することで対策の準備ができる。最低でも自分の動揺は抑えられるようになる。こうして、さまざまな角度からシナリオを用意して、サービスインを迎えたのだった。

2021年現在、私たちは日本に存在するゴルフ場の約9割と取引をしている。提携ゴルフ場数は2000コース以上だ。だが、2000年の創業当時はゴルフ場との提携には非常に苦労した。僕自身も含めて、メンバーがそれぞれ車で数時間かけて地方のゴルフ場を回ったが、支配人とは話すらできないことがほとんどだった。前年までのネットバブルは急速に冷え込んでいたし、そもそも旧態依然とした業界である。インターネットビジネスという業態に抵抗感を示す経営者も多かった。

 

メンバーそれぞれが日本中のゴルフ場を回り、提携を推進した


また、最初の資金調達も非常に難航した。30社当たっても29社には断られる状況。はじめに用意した資本金の8千万円は、あっという間に目減りして創業半年後には給料1カ月分にすら満たない金額になっていた(口座残高のキャプチャを今でも取ってあるほどだ)。そのギリギリのタイミングで、最初の出資を受けることが決まった。そこからは安定した利益体質となり、以降はサービスを拡大し会員数を伸ばし、国内最大のゴルフ専門ポータルサイトに成長していった。

2004年には東証マザーズに上場、2015年5月に東証二部上場、さらに東証一部市場に指定替え。そんな歩みの中でも、大きな危機は何度かあった。2008年に大規模な不正アクセスを受け、1週間サービスを止めざるを得なかったこと。2011年の東日本大震災発生時には、多くのゴルフ場の被災や国民全体の自粛ムードに直面し、業績が落ち込んだこと。その度に、こんな時に私たちに何ができるのか、どうすればお客さまや取引先と共にゴルフ企業として存在価値を発揮できるのかなどと悩みもがいた。そのような経験や周囲の方々との関わりの中で、「ゴルフの価値とは何なのか」を学ぶこととなった。人は誰しも、少しの息抜きや遊びが必要なのだということ。そして、ゴルフの価値とは「人が英気を養い、次に向かって頑張るための栄養分である」ということだ。

 

創業から15年目にあたる2015年9月に、東証一部市場に指定替えをした


昨年5月、世界的なパンデミック下で創業20周年を迎えたことは、これから先も忘れられない出来事になるだろう。1年が経過した現在も、この生活環境が続いているとは想像もしていなかったが、今は自分たちができることをしっかりとやり続けること――それを自分自身にも課し、社員にも伝え続けている。また、このような時だからこそ、社会全体に対しても意識を向けて関わりを持つことも大切だと考えている。

企業としても「らしさ」をより明確にして、事業活動を通じて世の中にどんな貢献をするか。2020年からは、この問いを長い時間をかけて議論してきた。そして、21周年を機に次のような新たなVISIONとBRAND SLOGANを掲げることにしたのだ。

 
■VISION:多様性を認め合い、人生を楽しむことができる寛容な社会を目指す
■BRAND SLOGAN:PLAY YOUR LIFE(あそびのある人生)

 

約1年間をかけて議論を重ね、生み出されたVISIONとBRAND SLOGAN


一生懸命生きて働いて、そのうえで本気で遊ぶこと。それがもっと認められるべきだと私は考えている。多様な生き方、過ごし方、働き方、遊び方をすることに互いに寛容で、一人ひとりが人生を楽しむことができる社会。GDOはゴルフを通じて、また会社のあり方を通じて、そのようなスタイルを推進していきたいと思う。

ゴルフの存在価値、私たちの存在意義。創業からこれまでの間に、幾度となく考えてきたことだ。そして21周年を迎え、私たちが企業として担う役割は、人びとにもっと人生を楽しむきっかけをつくり、手助けをすることだと確信している。「人生を楽しむ」ということは、画一的な内容ではなく、千差万別・十人十色だと思う。だからこそ、GDOは多様性を認め合う会社であるべきだし、ゴルフのあり方も多様であるべきだと思っている。社会に対しても、そういった寛容さを後押ししたい。こういう思いで、新しいVISIONとBRAND SLOGANが誕生した。



PLAY YOUR LIFE―あそびのある人生。企業として、事業活動を通じて、ユーザーや取引先との関わりの中で――それを私たち自身が体現し、メッセージと意味することを伝え続けていきたい。その先に、多くのひとが人生を楽しむことができる寛容な社会の実現が待っていると信じているから。

 

(構成・PLAY YOUR LIFE編集部 写真・角田慎太郎/ゲッティイメージズ)



■第3回をもう一度読む:創業メンバーが集結。サービス開始までの日々とは
■第2回をもう一度読む:10年間勤めた商社を退社。ついに起業へ
■第1回をもう一度読む:自由なゴルフは楽しい! ビジネスの種を見つけた米国留学時代