story

上手になってから…でいい? アナタの知らない「競技ゴルフ」の世界

サブグリーンからの救済はどうするのが正解?

ゴルフを覚え、ある程度コースを回れるようになってくると、次に湧いてくる感情は「もっと上手になりたい!」や、「もっとラウンドに行きたい!」という欲望だろう。どうするのが効率的か? 実は「競技ゴルフに出場する」のは、そんな想いを実現する有力な選択肢といえる。

“競技”の2文字を目にすると「自分なんてまだ下手だから……」と敬遠する人がほとんどかもしれない。だが、日本ゴルフ協会(JGA)や各地区のゴルフ連盟が主催してトップアマチュアが腕を競うような大会だけでなく、様々なレベルの競技が、全国各地で年間を通じて開催されている。そのうちのひとつ、GDO主催競技(GDOシングルスチャンピオンシップ、GDOペアスクランブルチャンピオンシップ、GDOチームスクランブルチャンピオンシップ)は、敷居の低さにもこだわった運営を心掛けている大会だ。

午前中は佐藤史隆プロによる座学です

長年、「GDO主催競技」で競技委員長を務めている佐藤史隆プロは、「試合に出ることによって腕前は上がっていくし、初めて参加する人が迷わないように、我々も時間の許す限りサポートをしています」と、初心者の出場を後押しする。

「マナーやエチケットが不安と話す人もいるけれど、後続組と同伴競技者に迷惑を掛けないことが基本なので、普段のラウンドと気にすることは同じです。それに、『GDO主催競技』はすべての試合に競技委員を派遣している数少ないアマチュア大会でもあります。ルールで分からないことは我々に聞いてもらえれば」と、競技初心者に門戸を広げる取り組みも紹介してくれた。

なんとなく…ではなく、しっかりルールを覚えて競技に臨むのが大切

それでもまだ不安が残る人のために、GDOでは「見る!知る!体験する!はじめての競技ゴルフ」として、競技ゴルフを疑似体験できるイベントも定期的に開催している。先述の佐藤プロが講師を務め、実際のコースで座学&実技を通して競技ゴルフに触れられるイベントだ。

今年1月にGDO茅ケ崎ゴルフリンクスで行われた通算9回目となるイベントには、競技ゴルフ未経験の男女9名が参加した。午前中はクラブハウス内で座学を行い、午後からは9ホールをプレーしながら、実際の競技の流れや、スコアカードの付け方を学んでいくカリキュラムだ。

競技用スコアカードの書き方も学んでいく

座学では、佐藤プロが競技ゴルフでの注意点として、「昼食休憩時もラウンドが続いている状態なので、素振り用のクラブを振ったり、練習したりしてはいけません。それに、ルールを知っていても“うっかり”が多いので、使わないものは車のトランクやロッカーにしまっておくのをオススメします」と、初めての競技出場者が失敗しがちなポイントを具体的にレクチャーしていた。なぜ?どういうこと!?と思った疑問を直接その場で聞けるので、参加者もしっかりとルール理解を深めているようだ。

午後は3組に分かれて、競技形式で9ホールをプレーした。とはいえ、スコアは関係なく、競技のやり方を覚えることがこの日のテーマ。最初は緊張していた参加者たちも、ホールをこなすうちに慣れていき、お互い励まし合いながら学習していく姿は、プライベートラウンドとも違う雰囲気を感じられて印象的だった。

レッドペナルティエリアからの救済を解説する佐藤史隆プロ

ゴルフ歴30年の稲永壽廣さんは「ゴルフが上手になりたい、スコアをもっと良くしたいと思ったら、緊張感のある中でやらないとダメ。いままで、自分のレベルで競技に出るのはどうかな?と思っていたけど、恥をかいてもいいからとにかく出よう」と一念発起し、この日のイベントに参加したという。

「臆病な人間にしてみれば、こういうことを通して『よし、自分にもできる!』という自信にもなってくる。そういった意味では本当に良かったです」。今回のイベントで競技ゴルフ参戦の意思をいよいよ固め、本番に向けた良い準備と予行演習になったようだ。

競技ゴルフって、楽しいかも

また、この日参加していたある女性は「“女子ゴルファーあるある”だと思うけど…」と言って、こんなことを明かしてくれた。

「本当に真剣にやりたくても、プライベートラウンドだと途中で『いいよ、いいよ』って言われちゃうんです。ルールブックで覚えていても、上手い人に『こうだよ』って言われると、『そうですね』ってなる。そういうモヤモヤ感を払拭して、自分の中で納得するルールに従ってやりたかった」。彼女は、より真摯にゴルフと向き合うために競技の道を目指すのだ。

「それに一人予約だと、なかなか女性同士が組み合わさることってないんです。そんなとき、『競技を志向すると良い友達が見つかりますよ』ってコーチから言われました」と、同性のゴルフ友達を作ることも目的に挙げた。70歳を過ぎたご両親がゴルフを通じて新しい友達を作っていることも、いま競技を目指す彼女の憧れだ。

同志を見つけられるのも、競技ゴルフの魅力

誰かを打ち負かしたり、良いスコアを出したりするだけが、競技ゴルフの目的ではない。ゴルフを真剣に楽しんで、より充実したゴルフライフを送りたいゴルファーが集う世界。それこそが、競技ゴルフの知られざる魅力だ。

写真・文 PLAY YOUR LIFE編集部

この記事をシェアする